『ぼくらの』を読んだ感想。

突然ですが、私は『完全版 ぼくらの』の方を読んでいます。


…まだ最後まで読んでいませんが、一話一話精神にガツンとくる。
重い。思いも、メッセージも。
ある程度精神が健康な時に読むことをお勧めします、これは。


私はそもそもこの作品、実は結構前から存在は知っていました。
ただ…
『結構な鬱要素があるけど?』
という噂を聞いていたので、今まであえて避けてきました。

アニメ版のOPである『アンインストール』という曲だけは、何度もリピート聞きしていましたけど。
今でもCDを持っているくらいの熱量で好きです。
是非、曲だけでも聞いてみてね(youtubeで聞けると思います)

さて…
内容を語りたいと思います。
『ぼくらの』は、社会の縮図です。

この作品は、一見すると『巨大ロボットで世界を救う正義のヒーローモノ』と言えます。
これは間違っていないです。その通りでしかない。

しかし…それは周りの一般の人々、もっと言えば生き残った側が後から『物語』として完成させたものです。
巨大ロボを操った本人達の置かれた環境や気持ちは、反映されていない『とてもお綺麗な物語』に昇華されることでしょう。


…実態は、選ばれた15人の少年少女が、地球を守るため戦い、勝っても負けても問答無用で必ず死ぬという容赦のない物語。
契約のルールは変えられず、降りる(棄権する)こともできない。

これは確かにフィクション。
しかし、現実社会の縮図そのものなのでは…と感じました。

『社会の縮図』は、様々なものに当てはめられると思う。

たとえば就職氷河期世代。
バブル崩壊直後、企業は採用を大幅に絞り、新卒で入れなければ正社員の道は極端に狭まった。
※もちろん後から挽回できる場合もあるが、かなり険しいのには変わりない。
努力や実力より、時代の順番がすでに不利を決定づけている。
抗うことの出来ない『ぼくらの』のパイロット順と同じで『出番が来た時点で負けが見えている』状況。

「僕達(他の世代・『ぼくらの』ならば、パイロット以外の人間)の為に生贄になってくれ」

「後世に美談として残してやるからさ」

みたいな、理不尽で圧倒的な圧や力が押し寄せるところが作品とかぶる。

そして、労働問題で必ず挙げられる『過労死構造』だ。
成果を出しても、その『代償』は現場の人間が負い、上層部やシステムは温存される。
一概にそれが『悪』とは言えないが(経営と労働者側は行う仕事が違うので)極端過ぎる例はこの世にいくらでもある。
この作品のパイロットが命を落としても世界は回り、また新しいパイロットが投入される流れというのは、現実の『労働消耗』にも通じるのではないだろうか。
「お前の代わりは、いくらでもいる」
…そう。選りすぐりの精鋭という存在ですらないのに。

日本には馴染みはありませんが『兵役制度』も重なる部分があるのではないでしょうか。
徴兵されるのは、政治を動かす立場ではない若者達。
戦う相手もまた、同じように家族や生活を持つ若者達。
勝てば国は守られるが、自分は生きて帰れないかもしれない。
帰れたとして五体満足ではないかもしれない。
きっと、多かれ少なかれ代償は払わざるを得ないでしょう。
『ぼくらの』の敵パイロットが並行世界の子供達である構図は、悲しい現実の縮図。

『ぼくらの』は転生もパラレル救済もない。
胸をエグる残酷さだけど、それが現実に近い。

与えられた順番、逃げられない契約、勝っても代償を払う仕組み。
これを体現するモノが、この世にどれほど…どれだけ溢れているのか計り知れない。



エンタメとしては重すぎるので、この作品に触れる時は体力&精神を消耗される覚悟をした方がいいですね。

とはいえ、社会の『搾取の構造』を鮮烈に描く作品として、これほどストレートな例は珍しいのでは?と思います。

…救済が、ないからね。

是非『完全版 ぼくらの』読んでみて下さい。
漫画とは内容が多少違う、アニメもあるよ。

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