私が働いていた会社も『人事異動』イベントがありました。
最終的には十余年働いた端くれの私も、そのイベントを経験したことがあります。
20代のとある年、私は今までの経験が全く役立たない部署に配属になりました。
とはいえ、歳だけは食ってますから、一般的な新入社員のように蝶よ花よも、手取り足取りもないです。
なので、ゼロからというか、個人的にはマイナスのスタート。
私は新入社員と同じどころか、フレッシュじゃない分、周りが扱いづらく、ちょっと腫物扱い感がありましたね(気のせいかもしれませんが)
そんな四苦八苦して馴染めない中、地域のお祭りがありました。
正直、職場の仲間とギクシャクしている時のこのような集団イベントは地獄です。
休日を犠牲にしてお祭りに出るのですが(当然のごとく無給)祭りの準備も考えると、この強制ボランティアにかけた時間はたっくさん♪
ただでさえ、職場の輪に入れていないこの時期にこれは辛かった…
祭りの当日は、自分の役割分担以外は暇で、これがキツかったですね。
暇なのが、トコトン辛い…
既に熟成されている職場内のコミュニティーに入れなかったんですよね、人見知りが激しくて。
何て言うんでしょう…自分が話しかけることで、邪魔にならないだろうかとか…
仕事以外(祭りも仕事みたいなものだけど)で話しかけるのは、調子付いていて、迷惑になるだけじゃないか…とか…
今思えば、もっとテキトーに絡んでおけば良かったかもと思うのですが…
新しい環境と仕事でちょっと頭がスパークしていた気がします(;・∀・)
そんなこんなで、皆の会話や祭りの雰囲気も楽しめずにそのうちいたたまれなくなりました。
ずっとその場にいるのも苦しくなってきたので、私はその場からそっと離れることに。
祭り会場になっている運動場の片隅で、ひたすらこれから神輿や山車が通るであろう道路を見つめていました。
私は1人行動は好んでするタイプですが、ワイワイ集団の中での『独り』は苦痛なので、時間が過ぎるのをただただ待っていました。
(帰りたいなぁ…)
そんな中、とあるオジさんが話しかけてきました。
「これから神輿や山車が出て盛り上がるよ」
「うちには娘と息子がいて…」
「俺の子供と歳近いんだなぁ…」
こういう世間話をしただけですが、私のやさぐれた心はこのオジさんによって少しほぐれました。
考えてみると、私はワザワザ人目につかない(見つからない)場所にいたんです。
そして、会社として参加している以上は、そこの社員と分かる祭り装束を纏っていました。
つまり、このオジさんは私がウチの社員だと分かって話しかけているということです。
それなら普通
『こんな果てで、ポツンと一人でどうした?』
『皆で祭りを楽しまなきゃダメだぞ』
『こういうイベントで親睦を深めて云々…』
『社会人としてはこういう付き合いも大事だぞかんぬん…』
とか講釈を垂れるかと思うのですが(※イメージです)
こんなキノコでも生えそうな場所まで来て、私が何者か分かっていても、あえて世間話をするさり気ない優しさが心に沁みました。
私のことをどう思って話しかけたのかは分かりませんが、ただ単に面倒見の良い社員アピールだったら、人目が付く場所で(皆にアピール出来るシチュエーション)やるのがベストでしょうから、そんな意図はないんでしょう。
こういうことをサラッと出来る方が『人格者っぽい人』ではなく『真の人格者』なのかなぁ…なんて若かりし頃の私は感じました。

後で知ったのですが、このオジさんは社内でも有名な人望あるお偉いさんでした(納得…)
コメント
その人もあんたと同じ気持ちだったんじゃないのか?
だから同じ行動をとったんじゃないのか
そうかもしれませんね。お偉いさんなので普段は人に囲まれてそうだから、ちょっと息抜きで避難してきたという可能性も?
もしくは、その人が若い頃私と同じような経験をされていた為つい声をかけてしまった…のかもしれませんが(^^;)
いずれにせよ、なかなか出来ないアクションだなぁと思いました。