『正欲』の映画。新垣結衣さんの熱演が光る…

朝井リョウさんの『正欲』。この本が原作の映画を先日フラッと1人で見てきました。


…なるほど、良い意味で気軽に家族や友達等と見る映画ではありませんね。
内容がある意味エグくて抉られる…私の心臓、残っているか?



1人なら色々と噛みしめて、2人以上なら同行者の人選を見極めて見入る(魅入る)作品だと感じました。
恐らく感想を語れば、同じものはなくて十人十色だと思うから。

内容を深く語るとネタバレ直行&興覚めになってしまう類のものだと思うので、私の感想を好き勝手語らせて頂きます。

まず、この世の中には色々な人がいる。
『多様性』と言っとけば綺麗にまとめられているだろ吾輩は!感があるけれど、それを口にする人や状況によっては軽々しくお手軽なスナック菓子のように感じてしまうこともしばしば。
「多様性?大歓迎!!個人を尊重するのは素敵なことだよね♪…ところでさー、彼氏出来た?えっ、まだなの~?今その段階ヤバいってマジで。体力的に子育てとか辛くなるよ?」
みたいなね。



新垣結衣さんが演じる女性は、自分が住んでいる田舎では結婚しているのが『普通』の年齢、いわゆるお年頃である。
しかしながら、彼女の心の内側には○○フェチという特性が隠されていて…
お話の進行上…主軸は彼女ではありますが、他にも様々な人の○○フェチや特性・個性が矢継ぎ早に視聴者の心をグッサリ刺してきます。

時にそれは。
自分を苦しめるものだったり…
自分と他人を苦しめるものだったり…

ご都合主義や綺麗ごとがない生の人間の描写、私はそこがいいと思いました。



…皆が生きやすい社会になるのは良いことですが『多様性』を重視する代償として、他人を傷つける謎の事態に陥ってはならない。

そもそもの話。
誰しもが多かれ少なかれ、軽度であれ重度であれ少数派なものは持ち合わせているのではないでしょうか?


社会の悪に立ち向かう役どころとして、稲垣吾郎さんが演じる検事の男性がいるのですが、彼も実は…?

映画の最後をご覧頂けると分かるのですが、○○フェチにやたら多くの『共感』『仲間』がいれば良いというものでもありません。



中には…
○○フェチが重度でヤバかったり。
○○フェチと偽って実は××フェチだったり。
○○フェチでもあり△△フェチ(法に触れるヤツ)だったり。

色々なリスクを背負う可能性も高くなります。

様々な角度や感情で見られる傑作だと私は感じました。
心にじんわり沁みる人も不快になる人も含めて、何かが心に残る作品。


最後に、演じた方のお話をすると…
(新垣結衣さん、よくぞこの役を演じきったな…)
というのが素直な感想。
個人的に新垣結衣さんと言えば『コード・ブルー』のイメージ(真面目で正義感のある医師)だったし、眩しい爽やかな演者さんだと認識していました。

が、さすがプロ。
一見、凡庸で目立たない女性になりきっていました。
あくまで『一見』ですが。(ここ重要)
恐らく…彼女の引き出しにはあまりないクセの強い要素を自分の中で納得いくまで咀嚼・解釈して演じたのではないだろうか…
役を吸収して、彼女なりのあの演技になったんだろうなと思うと驚嘆。
「地球に留学している気分」
のところが好きですね。


稲垣吾郎さんも、不器用であるがゆえの人間味のある役を演じていました。
…当然のことながら、こういう方がいないと秩序が成り立たないというのも事実なんですよね。
綺麗な理想オンリーでは犯罪は減らないし。



他にも語りたい方がいるのですが、今回は割愛させて頂くとして…
是非『正欲』の映画、見てみてね。おすすめです!

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