自分自身が本年に『墓じまい』を経験したこともあり、半ば吸い寄せられ手に取った一冊になります。
やっぱりどこかで『弔い』について深く考えたい気持ちがあったのかもな、と思います。
何だか他人事みたいに自分の心境を分析していますが、自分のことほど言語化できない時ってあるんだよなぁ。
…特に、感傷的になればなるほど。
さて。
自分語りをすると果てしなく長くなるので、話を戻します。
漫画のタイトルは『木暮姉弟のとむらい喫茶』と言います。
内容がストレートに出ていて、分かりやすい。
ゆえに、この類を求めている方(必要な方)の手元に届きやすいのでは?と思います。
具体的には…
『誰か』『何か』を亡くし失った時に、食べたり飲んだりする弔いのごはんのお話。
このように端的に紹介してしまうと…
「あー、良くあるグルメ漫画!?」
「へぇ~、安っぽいお涙頂戴ご都合漫画じゃないの?」
と斜に構えてしまう方々、多いかもしれません。
いえ、違います!(キッパリ)
いわゆる『精進落とし』(もう少し柔軟な表現があるのかもしれないけど)のような作品ですが、『儀礼的』ではなく『心に寄り添う』お話です。
何番煎じだよ的な『偽善』でもなく…
誰かにとっての『善』を押し付けるでもなく…
正論でガチガチな世間から優しく解き放ってくれるような喫茶。
何だろうな、あったかいんですよね。読後感が。
とにかく読んで欲しい一冊です。
以下、私の各話感想をメモ書き程度ではありますが書き連ねたいと思います。
①最後のレモンシャーベット…遺されし妻を思いやる、男性の生き様がとにかくカッコいい。
レモンシャーベットが、妻の食欲を復活させ…生きる気力も…
②禁断のチョコレートサンデー…いかにもな昭和の亭主関白夫が強烈。
常に遠慮がちだった妻は、その夫の死に複雑な思いを寄せる。
それこそ『好き』とか『嫌い』だけでは言い表せない深みのような…
ただ…夫が亡くなる直前の『優しさの欠片』を知って…
ちょっとお茶目な仕返しが素敵!
③覚悟のガーリックチキン…『恋人なし&独身』女性のお話。
世は多様性を謳っているが、うーん…少々社会の在り方も考えさせられてしまう。
女性の妹に悪気はないんだけれども。
人間であれ、猫であれ、かけがえのない存在には違いない。
女性の愛猫が余命いくばくもない時、喫茶ではなぜかガッツリ肉料理を勧められる。
それには意図があって…
④天国のクリームソーダ…とにかく女の子が眩しい。その子自身が太陽そのもので光っている。
女の子のお母さんは娘とウマが合わないと思っているみたいだけど、本心からそうなのかな?
極度に戸惑っているだけのような気もしなくはない。
だって○○とそっくり。
遊び心たっぷりのクリームソーダが、親子の心を解きほぐす…
⑤孤独のたまごサンド…歯欠け騒音おじさん(ちょいチンピラ)を不覚にも可愛く思ってしまった。
詳しく語ると、ネタバレ甚だしいので控えますが…
とにもかくにも、最後。
救いがあって本当に良かった!
よろしければ『木暮姉弟のとむらい喫茶』読んでみて下さいね!
少し追加情報を…
『木暮姉弟のとむらい喫茶』は、pixivで無料公開しているお話(※これを書いている時点)があるので、是非それだけでも読んでみて欲しいなぁと思います。
そのくらい、この人の作品には胸を打たれました。
というか、撃たれたかもしれない…ドスッ(鈍い音)
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