『君の心に火がついて』の感想!

学生からシニア世代までの様々な人達の『違和感』を丁寧に描いている作品。

それが…

『君の心に火がついて』です。

『表紙買い』する人もいるのでは?と思うほど、色使いと雰囲気が素敵な表紙。

内容について触れさせて頂くと…

当事者にとって生きづらい『違和感』それらへの『抵抗』を鮮烈に生々しく表現されています。

かつ一方的にならずに、あちこちに散らばる『違和感』に鈍感であったり、全く気付かなかったり、見ようともしない人達の気持ちや生態をさらけ出していますね。

『多様性』は大事。
しかしながら『多様性』を受け入れない側(意識・無意識に関わらず)の気持ちや行動も大事にしているところが秀逸。スゴい…

特に『コドクの女性』は。

その女性は、幼い頃から人間関係がうまく行かない。
自分なりに努力をしても、人は自分から離れていく…
社会人になっても、それは変わらない。

自分自身が置かれてしまう環境に、疲れて…疲れて…
命が吞み込まれてしまうような感覚になる。
「それでも、ここまで生き抜いてきた。自分の足で」
「でも、もう…折れそう…」

その『絶望のコドク』が杭になって彼女の胸を突き刺す。


最終的に『捨てる神あれば拾う神あり』という救いのある展開になります。

(しかし、現実にはその『救い』がある人がどれだけいるのだろうか)
私はひねくれているので、読みながらついそう思ってしまいました。
色々考えるきっかけにもなりました。

そういえば…この話を読んでから私が会社に在籍していた時のワンシーンを思い出したんです。

それはよくある女性同士の雑談で。

「独身(女性)でも、しっかり自立して生きている方ってカッコいいですよね!」
これは、とある既婚者の女性の言葉。
ささいな言葉だけど、どこか心につかえました。

別に独身女性だからと言って『バリキャリ』『出世の鬼』等に必ずしもなりたい訳ではないし…
その能力がある人だって一握りだと思うなぁ…

…そりゃそーだ、人間だもの。

ただ、たまたまこの世に生まれてきただけなのに、なんでこんなに息苦しいんでしょうか?

琴線に触れるお話ばかりが集まった一冊。

是非『君の心に火がついて』読んでみて下さい。
分厚いのに分厚さを感じないほどページをめくる手が止まらない…

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