人間ドック再検査に行かない人の話

私はかつて会社員だったこともあり、健康診断の類は毎年受けていました。
幸い再検査になるレベルの悪化した判定結果ではなかったので、私自身は良かったです。

…私自身、は。


ある時、一緒に働いていた定年間際の男性が、自分の人間ドックの結果を周りにオープンにして話をしていました。
確か『C』どころではなく『D以下』だったと記憶しています。
当然そのレベルになると、まぁ…必然的に再検査行きな訳でして…



私「大丈夫なんですか?病院行った方が…」


男性「大丈夫大丈夫!いつもコレだから」


どこか誇らしげな表情をするおじさん。笑顔すら浮かんでいます。
まるで、やっとの思いで戦場を生き抜いた兵士のような輝き。
『オラァ、ちっとばかし擦りむいたけんども、他は健康サァな。てぇしたことねぇ、舐めときゃ治るサァ。ガハハハ』
実際は大怪我なのに強がる漢のように見えて、何とも言えない心持ちになる…


私「………」

つまり、そのダークな結果を、いつも無視しているということだよな…
この反応を見て、私は驚きとともにやるせない気持ちになってしまった(-_-;)

多分、再検査に行くと悪い患部が見つかる→仕事を休んで(遅刻・早退等含む)治療、というのが嫌なのではないか、と。
私もあまり病院や医者にかかりたくないので、人のことは言えないのですが(;・∀・)

…でもよく考えてみると、その男性は病院嫌いというよりも、仕事最優先の性格とオーラがあったので、私とはちょっと考えが違うかも…
つまり彼は『仕事人間』なのでは。



そうだとしても…しかし、これはどうなんだろう。
体が悪いのが分かっていて、放って仕事に専念…
『仕事ファースト』ではなく『自分の体ファースト』が当然じゃないの?と私は思っちゃうのですが…

会社の重責は当時の私のような若輩者には、理解出来ないくらい肩にのしかかるものなのだろうか。
ウーン…と心の中で唸る私がいました。



その人は最初からこういう性格なのか、会社に滅私奉公戦士になるように『染められた』のか。
自分の信念や美学なのかは分かりませんが、100歩譲ってその人自身の自己責任でそれはいいとして…
他の同僚や部下はこの人の行動によって、自分の再検査に行きづらくなりそう…

『あの人が『D』で再検査に行かないなら、俺も行く訳にはいかねぇな』

『気合いだな、気合。あの人を見習わなきゃ!』

とか、あらぬ方向へ向かいそう。

このような健康診断や人間ドックは、会社負担でやって頂けるところは多いと思います。
しかし、形式的に年1回やってそれっきりだとしたら、何の為の福利厚生かしら?と首を傾げざるを得ないなぁと感じます。



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