労働者側の立場に立った本は、今まで無数に読んできました。
それこそ社会人になりたての頃に読んでいたビジネスマナーに始まり、労働者の悲哀までテーマは多岐に渡ります。
しかし、経営者側…つまり人を使う側の目線の本はあまり読まなかったし…必要も感じなかったです。
ですが、今回。
少々読んでみようと思い、この文章を書いています。
さて、早速本題に入ります。
一切イラストや図がなく、文章のみのこの本。
無骨さとある種の潔さを感じる。
定価=本体9,800円+税は伊達ではないです。
「人に事(つか)うるを知る者にして、然(しか)る後に以(もっ)て人を使うべし」
『孔子家語』にある文句だそうです。
つまり…
「人に従い仕えるということが分かっている者であって、初めて人を使うことができる」
ということです。
確かに人の上に立ってむやみやたらと権力をふるうのは楽。
例えば運悪く甘やかされて育てられてしまったボンボン後継者とか…その筆頭でしょう。
しかし、人の下で地味に働くのは結構難しいもの。
言い換えるといわゆる『下積み』があってこそ、労働者の心をがっちり掴める基礎が出来上がるということかな。
もちろん、それだけではダメなんでしょうけど。
さて、この本の内容はとてつもなく濃ゆい。
エスプレッソをウン十杯…いやそれ以上か?
ボリュームもあるので、胃もたれしちゃうかも。いい意味で。
少々本の内容を語ろうかと思います。
【部下も経営者を選ぶ】
企業に人手不足発生→業績不振→休業・倒産
もちろん率先して企業がゴリッゴリに人員カットしているところもあるけど、それは自業自得として。
従業員が自ら会社を変えるのはなぜか?
『一言で言えば『自分を認めてくれる』という心の問題』
結局それを体感するのが『給料』であり『地位』であるに過ぎない。
詰まるところは、心の問題です。
『社員が会社を見限って去ると、恩知らずと罵るが、返してもらうほどの恩を施していないから去ったのだ』
…うん。正論だな。
【相手を知ることは】
『皆さんは足軽の仕事をしているから忙しいのだし、業績があがらないのは足軽の心を知ろうとせず足軽の人格を重く見ていないからだ。かえって足軽から足軽扱いされることになる』
コミュニケーションの場、会食やら宴会やらというが、その気さえあればエレベーターの中でも出来るはずだ、とはこの方の弁。
確かに、全てがお膳立てされていなくても構わないはず。
他に、『勇気はトップの必須条件』『忠言は会社の名医』…吠えぬ犬は飼うな。
時に昔の大先輩の言葉を交え、この著者自身の経験や考えが落とし込まれている一冊です。
厳しくもあり、優しくもある…主観的であり、客観的でもある…人間だもの。
そんな本だなと感じました。
機会があれば、是非読んでみて下さい。
…ぶっちゃけ、この本を手に取るまで結構長い道のりでした。
なかなか図書館や本屋さんになくてですね、どこに(以下略)
そして…この『人の用い方』の装丁からして、身の引き締まる思いがします。個人的に。
最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました!
コメント