スペリオールの大賞受賞作「包丁を買う」がスゴい…

【スペリオール】は、小学館が発行している漫画雑誌。コンビニにも置いてあることが多いですね。
私の趣味や肌に合っている漫画が多いので、時折読ませて頂いています。

先日【スペリオール】2号(1月13日号)を読んで、個人的に急所をじわりと抉られた漫画がありましたので、勝手にご紹介したいと思います。

これは、60ページの圧巻の大作。
…でありながら漫画のタイトルは、平凡でシンプル。


「包丁を買う」作・折田洋次郎

どうして包丁を買うのか、買った後の包丁はどのような過程を経るのか…パッと見、気になります。
私はタイトルからして既に興味を惹かれました。
言うなれば…そそられる感じ。


メチャクチャ簡単に要約を言うと…
いわゆる『底辺職』と揶揄される仕事をしている男性(描写からして多分中年くらい?)の鬱屈とした日常を描いた作品です。

ただ…このように端的に言ったとしても、この作品の良さは1%も伝わらないので、是非一読して欲しいと強く思います。
それくらい度肝を抜かれました。

恐らく読み手によって十人十色読後感が違いますが、間違いなく衝撃を受ける。どんな形であれ。

中年男性を…
「頭の足りないお人好しの馬鹿」

「気弱だけど誠実な人」


「好意を素直に受け取れる人」


「毒親の被害者」

その他色々な角度から見ることが出来るので、この一種の曖昧さが漫画に深みを生み出しているのかな、と。


作中、中年男性と一緒の仕事をする20代の青年が出てくるのですが…彼は竹を割ったような性格で、中年男性とは真逆なタイプ。

結局、彼は仕事を無断欠勤してトンズラをします。

会社に対して中年男性のように忠義(っぽい)を貫くのか、彼のように逃げた方が利口なのか…
何とも言えぬ、空気感がたまらない。

最大の見せ場である『包丁シーン』は、自他共に傷つける為に使うのではなく…最終的には一筋の光となって…というラスト。


うまく表現出来ないのですが、白黒を意図的に言葉にしない・つけないのが大きな魅力なのではないかなと感じます。
そして、彼の日常生活がリアルに緻密に描写されているので、浮世離れ過ぎてもいない…
もやしや半額シール商品を買うところとか…もう。
作者の方が、就職氷河期後期の年齢だからこその現実味…なのだろうか?とも思います。

不思議な魅力が溢れ出る作品でした。

機会がありましたら、是非読んでみて下さい。

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