『仁義なき宅配』の感想を語ります。

まさに本のタイトル通りの内容です。
正式名称は、ある種のバトル漫画感満載(※貶していません)の『仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』と言います。
宅配に関わる業者同士の仁義なき争い模様を詳しく書いています。
爽やかな切磋琢磨やキラキラした幻想は抜きで、かなり殺伐した内容が詰まっていました。

日常に通販が組み込まれている私としては…正直、運んでくれている業者の方に対して申し訳ない…心苦しくなる部分もありました。
お安く快適に利用出来るサービスの代償・シワ寄せはどこかに存在するんだということを肝に銘じます。


この本を読んで1つ言えるのは、それぞれの業者には独自の背景・考え・そして闇の部分は必ずある、ということ。
ないとは言わせない(;´Д`)


急成長・改革には、特にそれが深く付きまとうような気がしますしね。


…まぁ、そもそも。
世の中に、どれだけクリーンでホワイトな企業があるんだ?って話ではありますが。

ところで、利用者側としては『送料無料』に惹かれる方は多いと思います。

しかし、それは本当に無料なのか?
商品に送料が上乗せされているのではないか?
もしくは、現場が泣くくらい安くサービスを買い叩かれているのではないか?
広い視野で見ることが大事だなーと思いました。

この本は、とてもリアルで良質。
著者本人が『宅配の軽トラに横乗り』したり『夜間の幹線輸送車に横乗り』したり、はたまた『ヤマトの羽田クロノゲートに潜入』したりと、かなりの行動派。


実際に、文字通り体を使って体験する決断はなかなか出来ないですよ…普通。
一線を引いて(もちろんそれも大事なことですが)取材したり、表面上をペロッとなめたりが王道じゃないですか…


当たって砕けたら、その時はその時よ!みたいな思い切りの良さがスゴい。
故に、それらの生々しい体験に裏打ちされた説得力のある文章にぐいぐい惹き込まれました。

ここで内容を暴露しまくると、暗に大物企業を敵に回すことになってしまうので控えさせて頂きます。
が、あまりにも生々しいからという裏返しなので…気になる方は是非読んでみて下さい。なかなかのエグみ。

さて…
ここに書いて差し支えない部分で、個人的に一番印象に残ったのは…
『ドライバーの皆様へシール』ですね。
このシールに対する憎悪にも似た感情は、すんなり腑に落ちました。ストン、と。


私自身、シールではなく封筒に元から印刷してあるものを受け取ったことがあるのですが…
端的に言うと、以下のような内容。

~ドライバーの皆様(宅配業者の皆様)へ~
いつも運送ありがとうございます。
こちらは大切なお客様にお届けするものです。
よろしくお願い致します。


…ふむ。
この企業だけが特別ではないし、無論この企業のお客様だけが特別ではない。

現場で忙しなく仕分け労働する人からすれば、いわゆる…
「私が出荷した荷物だけは特別なの!大事に運んでね!」
というメッセージが目に入ると、ちょっとイライラするのは分かる。

「こっちは、尻に火が付くような感じで時間に追われているのに!」

「あんた、運賃はいくら払ってんの?」


「上乗せで料金を支払っている訳でもないのにさぁ。あつかましい」


「他と何も変わんねーのに、特別扱いなんてする訳ねーだろ」

となるのは自然な感情の動きなのかもしれない。

『仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』の感想もどきをダラダラと語ってしまった…
最後までお付き合い頂きありがとうございました!

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