『火葬場で働く僕の日常』を読んで感じたこと。

私が『火葬場』という言葉を聞いて思い出す、一番古い記憶。
それは小学校へ入学する前の幼児期まで遡ります。
曽祖父のお葬式でした。
思い返せば…曽祖父がトイレに入っているのにも関わらず、私が間違ってトイレの電気を消してしまった時、怒鳴るくらい気丈な人だったな。
生前の曽祖父のことで、私が覚えているのはそのくらいでしたが、亡くなった後のお葬式は鮮烈に脳裏に焼き付いています。
恐らく私にとって初めてのお葬式参列。

炉の中に棺が吸い込まれた後…
骨になるまで結構な時間がある&待ち時間で繰り広げられる大人の話は訳分からんので暇、ということもあり…
1人で炉の前にフラフラ歩いて様子を見に行ったのを何となく覚えています。(この時から謎に好奇心旺盛)


殺風景で無音に近く、ただただ清浄な空間。
もちろん、私達遺族が見ている側の話。
炉の裏では焼き加減(?)等、一生懸命頑張って下さった係の方がいらっしゃったはずです。

そう思うと、何だか感慨深い気持ちになります。

↓という訳で…ではありませんが、今回この本『火葬場で働く僕の日常』に引き寄せられた次第です。

亡くなった人をあの世に送る為のお手伝い…その1つが火葬場の職員の仕事。
この漫画では、これまでに1万人のご遺体を見送った男性、その火葬場職員時代の壮絶体験が垣間見えます。
濃厚な体験の中のほんの一部なんだろうなぁ…という心境に読んでいてなりますね。

具体的な内容としては…
火葬場職員の火葬場での日常(一般人からすれば、常に非日常みたいなもの)を詳細に描いたものです。

火葬炉の火の中で動き出すご遺体(別に異常ではない)
火葬中に破裂したご遺体の骨片や肉片による怪我(特殊な条件下で発生)
非常に重く豆腐のような状態で棺に収められた、水により亡くなったご遺体


本当、読んでいてショッキング。
絵面的にも、ショッキング。
心臓にショックがガツンと来ます。ええ、ガツンと。

それが少し和らぐのは、個性豊かな同僚職員達の存在。
この方達がいるからこそ、漫画全体を包み込むドギツイ重みが薄まっている気がする。
…それでも、多少ではありますが。

私のおすすめのお話は…

第2話 要注意のPありのご遺体
第3話 ご遺体の焼き方
第12話 水死されたご遺体の火葬
第13話 あるはずのない骨

ですね。
誰しもがお世話になる(見送る側の親族等として、そしていつかは自分も)ことなのに、全然知らない世界でした。

この本を読むまでもなく、火葬場の職員の仕事は非常に特殊。
そして心理的・身体的にも大変な側面があるのは、言わずもがなの…お察しでしょう。

まず、感情的な負担がものすごいと思われます。
故人やその家族と直接関わり『負』(喪失感等も含めて)の強い感情を経験せざるを得ません。
人は共感力が大事だとは言うものの、反面…心理的なストレスに。
この場所だけの、遺族との特有なコミュニケーションの難しさや感情的な重圧は…私には想像も出来ない。

そして身体的な負担ですね。
火葬作業には、遺体の取り扱いや火葬炉の操作などの身体的な労働があります。
重い仕事(遺体によって個体差あり)や異臭への耐性が必要なのは、言うまでもありません。

後は、勤務時間(稼働時間)が一定していないのも大変かと。
遺体がいつ運ばれてくるなんて分からない訳ですから。
世間一般がお休みの日に働くこともあるでしょう。

そして、社会的な偏見もないことはないと思います。
社会において葬儀関連の仕事は、ちょっと特別というかなんというか…という微妙な空気ってありませんか?
なくてはなら仕事であるのに…

長々と語ってしまった…
もしご興味があれば、是非『火葬場で働く僕の日常』読んでみて下さい。

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