唐突ですが『この世は戦う価値がある』という漫画がスゴい…
人を喰い潰す現代社会との決別…というメッセージをまず前面に。
ブラック企業(と言って差し支えないと思う)にいいようにこき使われ、見下され、舐められている日常を送る女性。
組織的にも社風的にも『ウエッ…』と言わざるを得ない、居心地の悪い会社。
けれど反面、そういう会社は息をするように世の中に蔓延っているんだろうな、とも感じさせます。
表現が絶妙なんですよね。
分かりやすい暴力や犯罪臭のするものではなくて、行き過ぎない嫌味や悪口、そして迷惑が。
まさに生かさず○さずというような、どこかで聞いたような戦略っぽい。
リアルだからこそ浮世離れせずに読者の心の中にスッと入り、共感を得る…そんな作品です。
とはいえ…漫画を読んでいる感じ、主人公女性のまだ謎に包まれている生い立ち・背景から形成された性格も、かなりのキーポイントになっているような…
徐々にされるであろう深掘りへの期待感。
不謹慎ながら、砂の中に埋まる宝を発掘するようなワクワクさがあります。
そして彼女お手製の貸借対照表…じゃないや『貸し借り表』が興味をそそりますね。
1円単位でしっかり記録されている様が、こんな暴挙に出ているのにも関わらずどこか真面目な名残があって何とも言えぬ良いダシを出していると思います…憎めない。
そして、あえてぼかしている部分が気になる…たっぷり伏線があるぜ(´▽`)
そのあたりは今後連載が続いていくうちに、びっくり箱のように明らかになっていくのでしょう。
純粋に楽しみです。
ちなみに『週刊ビッグコミックスピリッツ 2023年20号』からの新連載漫画ですね。
↓じわりじわりと会社に蝕まれていった女性。

そして、謎の自信過剰&調子づいた彼氏の存在。
安息の時間などはない。僅かなプライベートであるはずの時間ですら。
これは自分が招いたことなのか。それとも社会が悪いのか。はたまた両方なのか。
そんな日常を送っていた彼女の張りつめていた糸がある時、あるきっかけでプッツンと切れる。
そして、彼女は動き出す。
大きな決意を腹に据えて。
↓そして、生まれ変わる。ニュー伊東!!

この新・伊東さんがスゴ過ぎる…
今まで溜まりに溜まっていたものが矢継ぎ早に口から出るし、行動にも惜しみなく表れる。
畳み掛けるようなテンポで、次々と周囲の人々に指摘・反論していくのが爽快です。
ちなみにここからは結構ギャグというか皮肉な笑いも入ってくるので、読後感は悪くないです。
旧・伊東さんと新・伊東さんとのギャップ萌え(?)がたまりません。
個人的には尾崎豊さんの『15の夜』という曲が、ふと頭に浮かんできました。
この漫画をベースに『25の夜』という曲が出来そうだな、なんて。
ちなみに歌詞は5番くらいまで余裕で作れそうだ…
感覚的には、まだミルフィーユの表面だけ剥がして味見しただけだと思うので、これから幾層にもなるであろう様々なお話を今後も楽しみに読んでいきたいと思っています。
…どんな方向性に転がっていくのかなぁ。
願わくば、なんやかんやあってもハッピーエンドを賜りたく存じますm(__)m
~追記~
待望の『この世は戦う価値がある』1巻が発売されました!
居ても立っても居られず1巻の感想(『この世は戦う価値がある』第1巻!感想!)も書いたので、よろしければご覧下さい!
ここからは、少々余談ですが…
以前のブログで紹介した作品である『包丁を買う』(詳しくはスペリオールの大賞受賞作「包丁を買う」がスゴい…をお読み下さい)も読み応えがあり、色々と考えさせられます。
社会全体に搾取されていて、どうしようもない憤りや落胆が克明に表現されているのが、圧巻。
こちらは先ほど紹介した『この世は戦う価値がある』とは違って、主人公男性が大改革・大それた行動をする訳ではありません。
ラストも『未遂』で終わります。
何と言うか…漫画という好き勝手に描ける場所であっても、奇をてらう感じではなく良い意味で型にハマった作風。
読んでいて地に足がついている感覚があるからこそ、心にじんわりと侵食してくる何かがあるのです。
最後がちょっとご都合主義じゃないか?というご意見もあるようですが、私はあの結末は作者のあえての意図だと勝手に思っています。
よろしければ、是非併せて読んでみて下さい。
コメント
最近は単行本待ちでビッコミ読んでないんですが(一気に読みたい派)
タイトルが思いっきりヘミングウェイから着想を得た感じですが面白そうですね!
基本的に私も一気に読みたいので単行本派ですね!
しかし「こ、これはッ!?」という特に応援したい作品が載っている時は、買ってしまいます。
私もタイトルで引き寄せられたクチ。少なくとも初回はガッツリハートを掴まれました。単行本楽しみ(気が早い)