労働者から搾取!?『資本論』を読んで。

『まんがで読破』シリーズというのがあります。私は昔、紙の本でいくつか読んでいました。
今では電子版も読めるようになって便利な時代になったなーとしみじみ。
以前に紹介したこちらの『蟹工船』も同様のシリーズ。
資本主義とは…労働者とは…それらを改めて考えさせられるお話。



その系統と似ていると言えば似ているのかもしれないのが、今回感想を書く『資本論』になります。

この本の主人公は経営者サイド。
とはいえ、最初はしがない一労働者でした。父親と共に細々とチーズを作って『中間の暮らし』(ほどほどの暮らし)をしているところから始まります。


ある時、人の縁が繋がって投資家の男性と出会います。
投資家の男性にチーズの工場を作らないかと誘われる主人公。
父は反対するものの、それを押しのけ起業します。


投資家から資金提供を受けた、いわゆる雇われ社長みたいな立場になります。

詰まるところは『お金持ちになりたい』一心というのが根本。

仮に生活に困らないお金があったとしても、貪欲もしくは不安になるのは、人の業、性(サガ)なのかも。

工場を経営する主人公。しかし、すぐ行き詰まる。
経営者として、どうしても非情になり切れない。

主人公の工場に出資した投資家の男性がアドバイス。

『錬金術』を。

それは…例えば仮にチーズ1個作る為に金貨10枚が必要だとする。
その経費の内訳。原料費・機械や道具の維持管理で金貨8枚。
人件費で金貨2枚。
これが基本だとする。

では、この人件費が金貨1枚になれば?

『剰余価値』(労働力の価値(賃金)を超えて生み出される価値)が生まれることになる。
つまり、本来は金貨2枚分の労働力を金貨1枚で購入するってことですね。
(うっわ、セコッ( ゚Д゚))
と思われるかもしれませんが、これが…
『資本主義に生きる』
ということに他ならない訳で…悲しいかな。

程度の差はあれど『搾り取る』『搾り取られる』ということですね。

だから『労働力』という商品を使い倒すと、究極最終形態では『奴隷』のようになるのは必然なのかもしれないなとこれを読んで思いました。

この本では
「俺達は奴隷じゃない!」
と集会を開く人物がいる一方で…
「労働力の買い手(経営者)が労働者の価値を引き出し、生かしてやっている!」
という人物もいます。

これは確かにどちらもその通りで。

行き過ぎはダメですが、労働力を使い倒さないと利益が少なかったり、出なかったり、ライバル会社に出し抜かれて最悪廃業せざるを得ない状況にもなったりするのも、また事実。
この本が書かれた時代は特にそうでしょうね。モノ作りが主力なら。




経営者サイド、労働者サイド両方の視点で描かれている漫画で読みやすかったです。

この続きとして存在する『続・資本論』(ストーリーも繋がっています)も、そもそもの貨幣の始まりから、資本主義と労働力の関係を客観的に解説したり、利益の追求した先に待っている不況や恐慌等々…具体的な内容で読み応えがありました。

知識として知っているよ!常識だよ!という方もストーリー仕立てなので楽しめるのではないかなーと思います。



皆様も機会がありましたら是非ご一読を!


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